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不務正業的我其實非常積極耽誤本業XD,過往一直打算記錄參加過的講座和展覽見聞,卻遲遲沒動筆,結果全都變成短期記憶……正所謂「學而時習之,不亦說乎」,最近游手好閒,終於有時間拋書包整理一下抄好的筆記!本來想以跟香港有關的活動打頭陣,適逢上星期五參加了一個關於新冠肺炎疫情和台灣經濟的網上研討會,所以還是打鐵趁熱吧!噹噹噹!


【簡介】

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官方沒海報,自製一張XD

日期︰2020年5月8日

地點︰網上(Zoom)

主辦單位︰東京大学社会科学研究所現代中国研究拠点、東京大学東洋文化研究所・班研究「中台関係の総合的研究」

活動名稱︰《コロナショックと台湾~対策の成功と経済・中台関係への懸念》

新型コロナウイルスが武漢で感染爆発を起こした時、世界は台湾が最大の被害者になるだろうと予測していました。 人口が2300万の台湾で、中国大陸に定住する住民が100万人近いと見積もられている上、春節前後に台湾海峡を挟んだ人の大移動が予測されていたからです。ところが、台湾は2003年のSARS流行の苦い経験から十全の準備を重ね、「超先手戦略」を打ち出して、感染をほぼ抑え込み、世界的にも希な成功例となりました。4月後半から帰国者を除く新規感染者ゼロの日が常態化しつつあります。ただし、台湾内部の経済活動の影響は他国に比べて少ないとはいえ、中国大陸との間に形成されたサプライチェーンが寸断されたことが、ただでさえ米中対立の悪影響を受けていた台湾経済に大きな打撃になっています。さらに、中国が警戒し、敵視する蔡英文・民進党政権は、防疫政策の成功により就任以来最高の支持率を獲得し、WHOから排除されていることの不当さを国際社会に訴えています。この状況は中国から見れば台湾独立を強める動きに見えます。経済と中台関係の行方は、台湾にとっての大きな懸念となっています。コロナショックと台湾をめぐるこうした状況を多角的に議論したいと思います。

(中文版是我的隨興翻譯,如有錯漏,請不吝指正~)

武漢爆發新型冠狀病毒疫情時,世界都預測由於農曆新年期間會有包括台灣海峽在內的大距離移動,2300萬人口中將近100萬人定居中國大陸的台灣將會是最大的受害者。然而,汲取2003年SARS痛苦教訓的台灣嚴陣以待,以「先發制人」的戰略遏止病毒傳播,成為全球罕有的成功例子。自4月下旬起,除了境外移入的案例外,台灣幾乎每天都沒新感染者。可是,儘管台灣內部經濟所受的影響較外國輕微,但與中國大陸之間的供應鏈中斷仍令承受中美對立惡果的台灣經濟大受打擊。更甚的是,中國政府防範和敵視的民進黨蔡英文政權不僅因防疫有功而獲得就任以來最高的支持率,而且向國際申訴台灣被WHO排擠的不妥之處,在中國看來無疑是加強台獨的舉動。經濟和中台關係何去何從對台灣來說是一大懸念。有見及此,這研討會將會多角度討論新冠肺炎危機和台灣現況。


2021/5/9更新︰原來當天的報告資料可以在東大社研現代中国研究拠点的網站下載!!

https://utokyoccrb.wordpress.com/2020/04/28/現代中国研究拠点オンラインセミナーno-3/

這次研討會是第三場,第一場和第二場的資料可參考這裡︰

《コロナショックと中国経済~COVID-19のインパクトと対応》︰https://utokyoccrb.wordpress.com/2020/04/01/onlineseminar1/

《コロナショックとアジア政治経済》︰https://utokyoccrb.wordpress.com/2020/04/01/onlineseminar2/

【內容概要】

報告1︰「台湾の防疫政策~成功のカギは何か?」(講者︰毎日新聞台北支局長 福岡静哉)

研討會在10時開始,但因為zoom規定不能同時參加兩場會議,而我早上的課沒結束,所以錯過了一開始的15分鐘……活動首先由福岡局長打頭陣,從「在台日本人」的角度分析台灣抗疫成功的原因,綜合成7點︰

  1. ?(在上別的課錯過了)(更新︰「超前部署」~早期かつ徹底した水際対策)
  2. ?(在上別的課錯過了)(更新︰SARSの経験を糧に)
  3. 徹底した隔離政策;例:寧夏夜市の熱感知カメラ
  4. 政府への信頼
  5. 蔡政権の高支持率
  6. 中国との関係︰「対中強硬」に傾いている政治環境
  7. 政治の緊張感︰有権者の厳しい視線、8年ごとに政権交代の繰り返し、失敗が許されない

第一和第二點我猜大概是SARS的防疫經驗和早期封關措施吧?局長的評論其實跟早前池上彰教授在《櫻井翔X池上彰 教科書で学べないニッポンの超難問》中的見解不謀而合,可見兼具知識遠見和推己及人之心的管理團隊非常重要!這次疫情亦切實地體現政治是日常生活不可分割的一部分啊!!要是由親中政權掌政,今天應該是另一局面了……所以有媒體形容台灣本來因跟中國對立而付上中方禁止國民赴台旅遊的經濟代價,結果台灣人反而因此避過一劫,實在是「塞翁失馬」(日文︰人間万事塞翁馬)呢!另外,福岡局長亦提及台灣今後要面對的三個重要課題︰

  1. 経済に打撃
  2. 市民が私権の制限にマヒ(麻痺)
  3. 揺らぐ「日本ブランド」

經濟衰退無疑是疫情平息後要面對的一大難題。世界各國經濟都因這次疫情大受打擊,即使台灣防疫成功,經濟仍難免受牽連,例如訪台觀光客估計約減少1184萬人次。與此同時,現時為了減少接觸傳播,市民日常生活受規限,甚至行蹤被記錄,長此下去有可能令人對私生活干預麻木。我覺得擔心自由被限制是過慮了,看看各地強制或勸喻市民減少外出後仍有為數不少的害群之馬便知道人類也是自由奔放(?)的動物了XD不過倒是要留意利用資訊科技監管人民時衍生的個人資料提供、運用和管理的議題呢~另一方面,日本抗疫過於寬鬆,令向來視日本為信心保證的台灣人民大失所望,日本金漆招牌隨時不保。老實說,身為經歷過SARS童年陰影的香港人,我也沒想到疫情來到日本會一發不可收拾,想當年日本可是SARS零確診的……但我覺得這次日本表現讓人大跌眼鏡除了怪政府決策失誤外,坊間輕看病毒、漠不關心、熱愛扮工(?)的態度其實是造成這局面更重要的原因。

報告2︰「台湾経済の影響~寸断されるサプライチェーンのなかで」(講者︰アジア経済研究所・研究推進部長 佐藤幸人)

第二位講者佐藤部長主要分析台灣經濟方面的變化。演講內容第一部分來自行政院主計總處4月底發表的新聞稿(https://www.dgbas.gov.tw/ct.asp?xItem=45378&ctNode=5624),所以圖表我就用回中文了~部長亦提到電子專業製造服務(Electronic Manufacturing Services EMS)是台灣的重點產業,90年代台灣電子製造產業生產線遷移至中國,推動中國成為世界工廠,但近年開始撤資。最後他總結因為情況複雜,所以難以預測台灣所受的實際影響……看來是保守派(?)呢:P

  1. コロナショックの中の台湾経済
    • 2020第1四半期GDPはマイナス
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    • 特に民間消費の落ち込みが激しい(外食消費↓6.59%;上場或いは店頭公開している宿泊業者↓26.21%;鉄道平均↓~10%)
    • 小売業は小幅の減少にとどまる(↓0.56%)(Eコマースが好調なため)
    • 輸出入とも増加
      • 好調:電子部品↑20.04%、電子製品↑7.88%
      • 減少:旅行、一次金属、一般機械、プラスチック
  2. ポスト・コロナ時代のサプライチェーンの変化と台湾
    • 短期:日本に対してアドバンテージ、部品・材料の発注先が日本から台湾にシフトする可能性
    • 中長期:{①賃金、コスト↑→中国への投資はピークアウト②米中貿易摩擦}→中国離れ↑↑、しかしどこへ?
      • 中国から完全に撤退したわけではなく、リスク分散
      • 東南アジア?(低コスト)
      • 台湾に回帰?(政府の優遇措置)
      • 消費地の欧米?(ロボットによる人手の代替)
  3. コロナショックの解釈の難しさ
    • 需要サイドと供給サイドの両方がダウン
    • 分散の限界、どこも大なり小なり影響が免れない、大規模な自然災害よりもはるかに広域

即使對經濟學一竅不通,但看到四周的停業和倒閉告示,可想而知社會一片愁雲慘霧……不過我覺得絕處逢生,人總會想辦法找到出路,說不定是這場疫症是日後產業結構和工作模式改革的起點。例如報告提及網上購物一枝獨秀,除了資訊科技產業外,也能為由之衍生的宣傳、物流和運輸業務帶來轉機?!另外,在家工作和彈性上班時間也有望普及,某程度上有助改善就業環境;只是我覺得總是活在別人目光下的日本社會難以實行啦……

報告3︰「中台関係への影響~懸念される一層の不安定化」(講者︰東京大学東洋文化研究所教授 松田康博)

第三部分是從政治層面分析台灣的現況和中台關係今後的發展。可是教授的網路很不穩定,聲畫不時斷斷續續……他的演講內容大致如下︰

肺炎爆發前剛好是四年一度的台灣總統大選。在香港反送中運動、中美貿易戰下中台經濟脫鉤(経済デカップリング(decoupling)要求)愈演愈烈的高漲反中情緒下,民進黨蔡英文以史上最高得票連任總統。疫情蔓延初期,基於SARS經驗及對中國的不信任態度,台灣早於武漢封城前已實施武漢航班檢疫、成立中央流行疫情指揮中心等應變措施。其後口罩出口禁令、包機風波及台方堅持使用武漢肺炎一詞亦加深中國對台灣不滿。兩地的政治角力讓滯留武漢的台灣人成為磨心:雙方對包機安排各持己見(中︰春節加班機;台︰撤僑包機),後來更發生中方不配合台方的檢疫登機原則、乘客名單貨不對辦、兩地部門互相指責等紛爭,返台包機一度停頓。與此同時,中國亦因隱瞞疫情之嫌、限制出入境失誤以致全球爆發疫情、拒絕配合國際調查等事件令形象進一步受損(中国イメージダウン)。

反觀台灣因這次抗疫成功並積極向各國伸出援手(Taiwan can help)而備受國際注目,被中方視為「以疫謀獨」。事實上,台灣過往曾以觀察員(オブザーバーobserver)身分參加世界衛生大會(WHA),但自2017年蔡英文執政後便沒收到邀請;加上世衛(WHO)秘書長譚德塞點名批評台灣種族歧視,令人懷疑世衛偏袒中國,製造話題轉移視線。雖然成為眾矢之的,但中國仍堅持一貫的宣傳策略,提出各國應感謝中國和向中國學習,甚至曾否認為病毒源頭,引起各國不滿。此外,中國拒絕接收台灣捐贈的保護衣卻抹黑台灣袖手旁觀,以及被揭發向疫情嚴峻的國家提供有償而且粗製濫造的醫療物資,誠信再受質疑。總括而言,台灣抗疫成功不但對其爭取國際地位是一大強心針,更推翻中國主張的「制度優越性」,無疑對中國是一大威脅。此外,親中的國民黨失勢、賴清德訪美、台商撤資令兩岸鴻溝加深,中國和台灣的往來將進一步減少。另一方面,目前美國積極拉攏台灣,軍方又在南海活動頻繁,各種被視為超越中國底線的挑釁將逼使三選國家主席的習近平推行強硬政策以鞏固權力,可見短期內兩岸關係難以改善。

寫這段內容概要要查大量新聞、背景資料和日文學術名詞的意思,我寫到快要吐血了XD教授的演講內容可再歸納至以下5個重點︰

  1. 前哨戦:「抗中保台」の総統選
  2. 初動における摩擦と中国イメージのさらなる悪化
  3. チャーター機問題の混乱
  4. 中国「宣伝」への嫌悪
  5. 中国からの圧力増大

中國在包機風波的表現感覺是闖禍後不但不補救,反而到處生事製造更多混亂=.=在危急關頭仍為了面子和權力罔顧人命實在是非常冷血的行為!早前香港有教授撰文批評吃野味文化,卻馬上撤回投稿,大家都揣測他受到政治壓力……與其粉飾太平,不如著手改善民生和教育人民,以免再引發第三場世紀疫症吧@@樂觀地想,可能正正是因為這個生化大炸彈溫床,鄰近地區才能人人自危,一旦爆發時能迅速應變……

討論環節

參加者︰

  • 福岡静哉(毎日新聞台北支局長)
  • 佐藤幸人(アジア経済研究所・研究推進部長)
  • 松田康博(東京大学東洋文化研究所教授)
  • 丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授)
  • 黄偉修(東京大学東洋文化研究所助教)

討論環節完全是聽力測驗XD因為題目不是我熟悉的範疇,加上教授的網絡不佳,所以有不少部分我都聽不懂……討論可分成防疫政策和政治經濟兩部分。

防疫政策的討論主要圍繞台灣的成功因素和比較台日的措施。福岡局長認為民主主義和自由是台灣成功的關鍵,因為民選總統有助人民監察政府表現;松田教授認同,表示民主有利國民優先主義,再加上高水平的國民知識和防疫意識,政府嚴厲執行政策時也願意跟從。福岡局長亦補充說他入住的大廈入口設有體溫檢測機,而且即使研討會當天恢復開放觀戰的棒球賽、日常生活漸漸回到正軌,但人們外出時仍很謹慎。此外,松田教授指出因日本マイナンバー制度未普及,所以落實派發口罩和補助金等中央政策時遇到不少行政問題,費時失事。黃助教則認為台灣經歷SARS一役,政府控制疫情時雷厲風行,而且不只政治家,研究人員和前線醫生都能參與(研究者、現場の医者の一体化),決策都經過專家評估,制度發展成熟;除了陳時中部長外,台大副校長、台大附屬醫院感染科張上淳教授每次疫情出現擴大跡象時都會在指揮中心。的確,一看日本全是政客的「新型コロナウイルス感染症対策本部」便高下立見了。日本1月28日確診首宗本土感染,1月31日成立本部,但直至2月13日出現死亡個案後,厚生労働省才在2月14日呼籲全國防範病毒和在16日首次舉行專家會議呢。不過現在無謂事後孔明了,希望日方會因這次疫情積極改善現存制度的不足去應付刻不容緩的傳染病防治工作吧……

經濟政治方面的討論則以台灣國際地位的變化為主。他們首先討論台灣企業在中美貿易戰的角色,提及美國打壓華為對台積電(TSMC)的影響。可是我孤陋寡聞,不知道TSMC便是大名鼎鼎的台積電,所以這部分我跟不上……有人問到國民黨對蔡英文政府抗疫表現的評價,但講者們似乎沒有留意相關消息:P福岡局長說國民黨在總統大選後換新主席,存在感較薄弱,印象中沒聽到對防疫措施的批評;松田教授回應指1月大選後國民黨自亂陣腳,加上主張捐贈口罩到中國引起民怨,3月的支持率大幅下滑(12%)。此外,就台灣加入世衛的討論,有人問到為何中國不能改變對台灣的態度,真是困難的問題!應該直接請中國官員來解答呢XD講者們的答案是標準的「中國原則」,福岡局長則補充日本普遍能理解台灣加入世衛。講者亦有提到台灣和福建之間因防疫優先而關閉的「小三通」。是說我看太少新聞,起初聽成「小山東」,還心想怎麼會談及遙遠的山東呢:P


【延伸閱讀】

研討會結束後,我上網搜尋了很多資料惡補,最後想分享其中三篇文章。第一篇跟這次研討會的主題相同,也是分析台灣抗疫成功之道和展望台灣今後的政治和經濟發展。不過跟研討會講者一面倒支持台灣的立場不同,這篇列舉了台灣可能要面對的危機,算是另一種思考模式。第二篇的觀點比較少見,讚揚台灣一直關懷弱勢的社會政策造就滴水不漏的防疫措施,正正呼應第三篇關於新加坡這次老馬失蹄的原因。

第一篇https://www.businessinsider.jp/post-212152

《台湾がコロナ「優等生」になった理由。閣僚に医師出身、デジタル化の一方で強まる監視》 2020年5月1日

新型コロナウイルス感染拡大で、今もマスクを求める行列が絶えず、10万円の給付もはかどらない日本。対照的にお隣の台湾は早期対応で感染者数、死者数とも低レベルに抑え込んだ。重症急性呼吸器症候群(SARS)対応失敗の教訓から学び、デジタル技術でマスク配布システムを開発するなど、すっかりコロナ対策の「優等生」になった。

日本より10日早く対策本部設置

台湾の感染者は429人で死者は6人。国・地域別の感染者数で10位の中国、27位の日本をはるかに下回る110位(4月28日段階)。今回台湾当局が世界保健機関(WHO)に、SARSの特性を持つ感染例が起き、「(患者が)隔離治療されている」と伝えたのは、2019年12月31日とされる。これに対し日本政府が注意喚起したのは1月6日。中国当局が1月20日「ヒトからヒトへの感染」を確認すると、台湾は直ちに「中央伝染病指揮センター」を立ち上げた。日本が「感染症対策本部」を設立したのは1月30日である。この差は決して小さくない。

なぜ台湾の対応はこれほど早かったのか。

まず挙げなければならないのは、中国と台湾の距離の近さと交流密度の高さである。蔡英文政権は中国と政治的には厳しく対立しているが、台湾の輸出の約4割は中国向けと、経済的には深い相互依存関係にある。中国に住む台湾人は約100万人。中国で感染症が発生すれば、香港・マカオとともにすぐ感染が及ぶ危険があるから、敏感になるのは当然だ。

SARSの経験と医師出身閣僚

第2はSARSの苦い経験。台湾で最初にSARS感染例が報告されたのは2003年2月下旬だった。当初は徹底した患者隔離が奏功し感染拡大は抑えられた。ところが4月に入り台北で感染がブレーク、医療関係者を中心に346人の感染者と73人の死者を出してしまった。SARSに感染した台湾人医師が、日本旅行中に発症したことが大きく報道され、日本でも台湾の防疫態勢の甘さを指摘する声があがった。

そして第3は、台湾のリーダーに医師の資格者が多いこと。蔡英文総統とコンビを組む陳建仁副総統は、米ジョンズ・ホプキンス大学で公共衛生・流行病で博士号をとり、SARSの時は行政院衛生署署長だった。コロナで陣頭指揮にあたっている陳時中・衛生福利部長(衛生相)は、台湾歯科医師会の会長を務めた歯科医だ。陳氏は毎日午後2時から記者会見し、記者の質問に丁寧に答える姿が市民の人気を集めた。ケーブルテレビTVBSの世論調査(3月)ではその対応に91%が「満足」と答えたほど。次期総統選への出馬が取りざたされる台北市長の柯文哲氏(無党派)も、台湾大学病院の外科医出身。医師資格を持つリーダーが多いのは、日本植民地統治と無関係ではない。当時、成績がいくら優秀でも台湾人が日本で官僚や政治家になる道は閉ざされていた。旧帝大に進学した多くの台湾人エリートは、医師の資格をとった。その伝統が、子や孫の世代に引き継がれたのだろう。

健康保険IDとマスク配布の仕掛人

日本では「アベノマスク」と、酷評された布製マスクの配布は滞ったまま。一方台湾では、デジタル技術を駆使してマスク問題をいち早く解決したことはよく知られている。「健康保険」IDを使い、薬局でマスクを配給するシステムである。薬局に行って国民健康保険証を提示すれば大人は3枚、子どもは5枚のマスクを受け取れる。このほか、オンラインでマスクを注文し近くのコンビニで受け取る「e-mask」システムもある。台湾は従来、マスクの大半を中国からの輸入に頼ってきたが、コロナ禍とともに在庫や生産を当局管理下に置いた。仕掛け人は、デジタル担当閣僚の唐鳳(オードリー・タン)氏。「天才プログラマー」とされる唐氏は39歳。中学を中退、19歳の時シリコンバレーで起業し、蔡政権誕生直後の2016年10月から台湾行政サービスのデジタル化の責任者を務めてきた。

デジタル民主主義の裏で進む監視

台湾は都市封鎖も学校の閉鎖もしなかった。だが公共輸送機関の利用者にはマスクを義務付け、違反者には罰金を科すなど日本以上に厳しい措置をとってきた。デマ情報への対応も厳しい。1月中旬、SNSで「台湾でウイルス感染症例が見つかった」という情報が拡散。台湾当局はすぐ「これはデマ」と発表し、これを流した者を「社会秩序維持保護法」で罰すると警告した。

日本を含め海外メディアには、唐氏を「デジタル民主主義」の始祖のように崇める向きがある。しかしその一方で、台湾は隔離状態にある帰国者のスマホ情報から位置確認をする、プライバシー保護の観点からは問題視されかねない措置もとっている。イスラエルのネタニヤフ首相は3月14日の記者会見で、「対テロ技術をコロナ感染拡大抑制にも使う」と述べ、民間人には使っていなかった携帯電話の位置情報から監視するシステムを導入すると発表した。ネタニヤフ氏は(この技術は)「台湾でテスト済みで、大きな成功を収めた」とも発言した。こうした監視システムは中国が「先輩」だが、台湾でも行っていたことが明らかになった。これらの情報を誰がどう使うかが最大の問題だが、中国の浸透を警戒する台湾情報機関が「スパイ探し」に使っていない保証はない。デジタル技術にイデオロギーはない。

台湾ナショナリズム煽る蔡政権

これだけ優秀な人材が揃っていながら、台湾にとって不幸なのは、トランプ米大統領と声を合わせてWHOと中国批判の先頭に立っていること。コロナ禍は、蔡政権の下で悪化する一方の中台関係を改善するチャンスでもあったはずだ。しかし、蔡氏はコロナウイルスを今も「武漢肺炎」と呼び、中国大陸との違いを際立たせ、「台湾ナショナリズム」を煽り続けている。まるで1月の総統選の延長だ。例えば3月19日の記者会見で蔡氏は、「武漢肺炎が世界を破壊し、健康と経済に危害を加えている」と、まるで中国が加害者であるかのような発言をした。中国敵視によって、台湾ナショナリズムを駆り立てる論法だが、中国抜きで台湾経済は成り立たない。5月20の第2期総統就任式で、蔡氏がどのような対中政策を打ち出すか見守りたい。

WHO加盟という政治性

蔡政権は、感染対策の成功をWHO加盟の絶好の機会として、これに反対する中国とWHO事務局長批判のトーンを強めてきた。感染症に国境はないが、台湾のWHO加盟問題は常に政治問題化してきた。中国は台湾の要求を「一つの中国」原則を盾に拒否している。「脱中国化」を進めてきた陳水扁政権(2000~08年)は、国際世論で受け入れやすいWHO加盟を突破口に、「台湾名での国連加盟」を住民投票(否決)にかけるなど、台湾独立への動きを加速した。一方、2008年に誕生した国民党の馬英九政権は「一つの中国」をめぐる「92年合意(コンセンサス)」を受け入れたことから、2009年からWHO総会へのオブザーバー参加が認められた。

だが蔡政権下では元に戻ってしまった。

中国を敵視する蔡政権の頼りはアメリカと日本。そのトランプ氏は、初期段階でコロナ禍を軽視し、世界で最も多い100万人を超える感染者を出してしまった。WHOへの出資拒否を決め、治療法として「(人体に)消毒薬を注入したらどうか」と平気でデマを口にする。世界中が感染拡大阻止と恐慌対策に忙殺される中、台湾の加盟問題は主要テーマにはならないだろう。むしろ「米中泥仕合」の中に埋没する可能性が高い。

中国との「新冷戦」を仕掛けるトランプ氏にとり、台湾はまだ使えるカード。しかしアメリカがグローバルリーダーの地位から退場する時、台湾は「捨て駒」にされるのかもしれない。

 

第二篇(這篇也有中文版)https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00860/

《新型コロナ問題で台湾が教えてくれたこと―マイノリティーへの向き合い方でその国が真の「先進国」かどうかが決まる》 2020年4月30日

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスについて、台湾は徹底的な水際・封じ込め対策で成功している。感染対策がうまくいった背景に、筆者は台湾が歩んできた歴史の全てが生かされた結果だと考える。特にマイノリティーやジェンダー、社会的弱者への向き合い方に表れており、学ぶべきところが多い。

感染者ゼロの日

4月14日の夜、台湾台北市のランドマークである円山大飯店の客室が初めて「ZERO」という言葉を灯した。新型コロナウイルスCOVID-19について、台湾で新規感染確認0人が報告されたのを受けて、これまで努力を重ねてきた人々をたたえ、ねぎらうための輝きである。

総感染者数―429人、新感染者―0人、死亡者数―6人(4月28日現在)

その後、海外より帰台した海軍のクラスター発生でいくらか動揺はあったものの、感染拡大は抑えられている。4月28日時点においては3日連続で新規感染者ゼロ、市中感染は16日間連続してゼロを記録。この「ゼロ」という数字が与えてくれる「守られている」感覚は強力だ。自分と社会が確かにつながっていて、あまたの手がその間に関わり、大きな信頼に抱きとめられているような・・・。

私は台湾で暮らす一人の外国人、いわゆるマイノリティーだ。配偶者ビザを持っているが、台湾の国籍を有しているわけではない。それでも今はっきりと、自分がこの共同体を構成しているひとりだと感じる。自分という個人の輪を広げていくと台湾社会になり、そこに落っこちてしまいそうな穴が開いていないように思える。大げさな言い方だが、こういう感覚を味わうのは生まれて初めてかもしれない。世界が今まで以上に美しく、いとおしい。まだまだ予断を許さないとはいえ、今のところコロナ対策に成功している台湾は、世界中で猛威を振るっているコロナ禍を通じて新たな風景を見せてくれている。それは、真の「先進国として」のマイノリティーへの向き合い方である。

BBCの報道番組「ニューズナイト」の司会者エミリー・メイトリスは、「多くの政治家が口にする、コロナウイルスは金持ちにも貧乏人にも平等であるという言い方は不遜である。実際には、低所得者ほど感染する危険が高く、これは公衆衛生の問題であると同時に、社会福祉の問題なのだ」と言った。実際に、米国では多くの州や地域で黒人の感染者の割合が著しく高いという報告もある。その理由については、貧困からくる糖尿病・心臓疾患・肺疾患など基礎疾患の影響や、医療における差別、テレワークが困難な仕事をしている人が多いことが指摘されている。

歴史の全てが今回の対策に生かされている

しかし台湾では今のところ、比較的平等に誰もが守られていると感じる。マスク一つ取っても、老いも若きも富めるものにも貧しきものも、皆にサージカル・マスクが行きわるようになった。

夜市や屋台も営業している。公立の美術館や博物館は、消毒や入場制限をしつつ開館を続ける。子供たちも、毎日元気に学校へ通っている。経済格差や家庭環境の影響が特に大きいのが教育だ。もし学校に通えずホームスクーリングになった場合、オンライン環境や学習意欲の差は子供の将来に関わるだろう。また台湾では、2019年に合計160,944件の家庭内暴力(DV)が報告されており、その中でも児童虐待は20,989件を占める。もし学校がなければ、少なくない数の子供たちが始終、虐待の危険にさらされることになる。

徹底的な水際・封じ込め対策を行ってきた台湾で暮らして分かったのは、今回のように感染症などが流行した場合、できるだけ早い封じ込めを目指しながら、情報をオープンにして共同体全体と信頼関係を築くことの重要性だ。最初は社会的コストがかなり予想されるとはいえ、先延ばしにして都市がロックダウンすることになった場合のダメージは計り知れない。またそのおかげで、マイノリティーであっても生存を脅かされずに済む。

世界で今回のコロナ対策における台湾の評価はうなぎ登りである。従来の中国との緊張関係によりWHO(世界保健機関)を過信せず独自の対策を講じたことや、SARS(重症急性呼吸器症候群)の経験、論功行賞にとらわれず実力に応じて専門家を閣僚に任じ尊重してきたことが、多くのメディアや論者によって指摘されている。どの理由もその通りだと思う。しかし、根本的な理由はもっと深いところにあるのではないかと感じる。簡単に言えば、台湾がたどってきた歴史の全てが、今回生かされている、というものだ。

マイノリティーへの「自分ごと」という向き合い方

台湾のモットーとは何だろうか?それはWHOのテドロス事務局長が「台湾からの人種差別攻撃を受けている」と台湾を非難した際に、蔡英文総統が応じた「台湾は長年国際社会から排除され、孤立する意味をよく知っている。台湾はいかなる差別にも反対する。台湾の持つ価値観は自由、民主、多様性、寛容である。テドロス事務局長を台湾へ招待したい。そうすれば我々の努力が分かるだろう」(筆者簡訳)という品格ある反論に、端的に示されている。

台湾がこうした価値観を獲得するまでの道のりは、長く険しい。50年間の日本植民地時代を経て、1945年を境に中華民国国民党の統治下に置かれた台湾では、二二八事件をきっかけに戒厳令が敷かれ、無実の人々が政治弾圧のために拘束・処刑される「白色テロ」の時代を経た。その後、1980年代に盛り上がった民主化運動を受けて1987年に戒厳令が解除され、1996年の総統の直接選挙につながった。「台湾人の台湾人による自決権」が、ついに実現される。

3度の政権交代を経験した台湾で育まれたのは投票による「チェック機能」だった。選ばれたリーダーが権力を悪用したり落ち度があったりしたと感じれば、台湾の有権者は大規模なデモを行い、糾弾し、投票で政権から容赦なく引きずり下ろした。

民主化と共に爆発的に盛り上がったのは、長年抑圧されて来た女性や先住民族、性的少数者(LGBTQ)などのマイノリティー権利運動である。2005年には憲法で立法委員(国会議員)の女性議員の比率にクオータ制(※定数の約3割を占める比例代表において、各政党は半数以上を女性にしなくてはならない)を導入し、女性議員の比率を高めた。また近年の先住民族運動における掛け声「部外者はいない(没有局外人)」にも顕著なように、あらゆる災禍や不平等を「自分ごと」としてとらえ、寄り添い、手助けしようとする気持ちも育まれた。これは、2011年東日本大地震の際に日本に贈られた莫大な義援金にも表れている。2019年にはアジアで初めて同性婚が法律で認められ、男女格差を表すジェンダーギャップ指数は、世界9位である(日本は121位)。

さらに今年1月の総統選で、蔡英文政権を再選へと導いた大きな「自分ごと」があった。2019年の香港デモである。中国政府による、香港はじめウイグル・チベットへの弾圧、情報統制や人権侵害を真近で目撃してきた台湾は、いま手にしているリベラルな価値観が経済的豊さと引き換えにできないことを認識し、自らの台湾アイデンティティーにその意識を同化させたのだと思う。つまり、今回のコロナ禍が問うているのは、その共同体が常に価値観をアップデートさせてきたかどうか、なのだ。例えば台湾・ニュージーランド・ドイツなど、今回のコロナ対策で死者を比較的低く抑えている国の共通点は女性がトップという話がある。

ここから導き出される答えは、女性が優秀であるといった話ではないだろう。女性がリーダーになれる国では、伝統的なジェンダーや慣習よりも実力や新しい発想が重んじられ、マイノリティーが重視され、柔軟に社会が変わってきたのだと思う。マスクアプリ開発で日本でも一躍有名になった天才IT担当閣僚オードリー・タン(唐鳳)氏の起用も、そうした例のひとつだろう。こうした国々が今、さまざまな先進的な施策によって世界を引っ張っている。

日本の行政のマイノリティー排除

対して、日本社会におけるジェンダーやマイノリティーへの眼差しはどうだろうか?唐突な全国一斉休校措置では、防疫上の是非はともかく、多くのシングルマザー/シングルファーザーが窮地に追い込まれた。臨時休校に伴って仕事を休んだ保護者には支援が発表されたが、風俗産業で働く女性らは当初、除外されていた。セックスワーカーにはシングルマザーも多く、貧困家庭のやむにやまれぬ選択肢として機能している例も少なくない。セックスワーカーの労働環境改善に取り組む団体「SWASH (Sex Work and Sexual Health)」はすぐさま見直しを求めたが(ちなみに台湾で同様の団体「日日春關懷互助協會」もすぐさま日本の厚生労働省に対して抗議声明を出した)、このことがあらわにしたのは、日本の行政における明らかな職業差別であり、マイノリティー排除である。収入が減少した家庭への支援も、二転三転して不安や不満を増幅させた。航空会社の客室乗務員(CA)が防護服の縫製を手伝うと言ったニュースは、時代錯誤的な女性差別を感じさせ、裁縫の専門職を軽んじていると非難された。

日本から聞こえてくる対策に共通して感じられるのは、生活者が抱えている恐怖や困難へ寄り添う想像力の決定的な不足だ。この点で、台湾政府はまったく対照的である。毎日開かれる記者会見では、現状や見通しといったグランドデザインが分かりやすく示され、スピード感もある。先日台北のナイトクラブの従業員に感染者が見つかり、全てのナイトクラブやダンスホールの営業停止となったが、無条件で従業員への1~3万台湾ドル(約3.5~11万円)の緊急支援が営業停止から1週間のうちに発表された。現在の新規感染者ゼロがうまく続けば、6月からは順次規制を緩めるとの見込みも明示されている。

ジェンダー平等教育への気配りも忘れない。例えば、配給のマスクがピンクで恥ずかしいという男子児童へ向けて、疾病対策センター(CDC)の陳時中指揮官は記者会見で自らピンクのマスクをつけて登場し、「ピンクは素敵な色だよ」と語りかけた。

想像力とはなにか?それは「愛」にほかならないと、陳時中指揮官をはじめ台湾政府の日々の応対を見ていると改めて感じるのである。

台湾を排除する世界の問題点

蔡英文総統がWHOのテドロス事務局長に語りかけた言葉の最後にとても示唆的な表現があった。

「台湾が加入してこそ、WHOのパズルが完成すると私は信じています」

人や物が自由に行き来して作り上げられたグローバルな現代世界。物流も今のところは止まっていないようで、飛行機のカーゴや船のコンテナは日々世界をめぐる。そこにウイルスが付着して運ばれる可能性はないだろうか?大型の船や石油タンカーも各国を行ったり来たりしているが、そこでダイヤモンド・プリンセス号のような船内感染が起こったりはしないのだろうか?多くのものを輸入や輸出に頼っている台湾には、新たな困難のステージが待っている。つまり、どこかの国だけが封じ込めに成功しても、グローバルでの足並みがそろわなければ新型コロナの終息が見えない以上、台湾が多くの国際機関から排除された現状世界は、明らかに不完全で「完成しないパズル」である。

社会におけるマイノリティーにも、同じことがいえる。マイノリティーが社会福祉のセーフティーネットからこぼれ落ちてしまったとき、そこからまた感染は拡がるかもしれない。シンガポールでは封じ込めに成功していたところ、劣悪な環境で暮らさざるを得ない外国人労働者から再び感染が急激に拡がった。今回のことで可視化されたのは、あらゆる人がクモの巣のようにつながりあって世界が構築されており、誰も「部外者」ではありえないことだ。

排除によってマイノリティーを落とし穴にしてはならない。台湾はあらん限りの力を使って、世界に向けてそのことを呼び掛けているように思える。

マイノリティーは存在していて、それだけでもうすでに、かけがえのない世界の一員なのだ、と。

 

第三篇https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93253.php

《優等生シンガポールの感染者数が「東南アジア最悪」に転じた理由》 2020年4月27日

大規模な濃厚接触者の追跡など、新型コロナ対策の手本とされてきたシンガポールの感染者数が東南アジア最多に。新規感染者の多くは、当局が無視してきた外国人出稼ぎ労働者だ。

東アジアと東南アジアの一部の国は3月まで、新型コロナウイルス対策の手本と見なされていた。特にシンガポールと台湾は、パンデミック(世界的な大流行)の震源地だった中国と経済的・地理的・文化的に深いつながりがありながら、新型コロナの感染爆発をうまく防いでいた。いくつかの国はその後も健闘中だ。台湾で確認された感染者数は4月25日時点で、わずか429人。ロックダウン(都市封鎖)も回避している。3月初旬に感染率が危険なレベルに達していた韓国でも、ウイルスの抑え込みに成功した。

だがシンガポールでは、3月23日には510人未満だった感染者数が現在は1万2000人を突破。東南アジアで最悪の数字を記録している。

当局は大規模な濃厚接触者の追跡など、早くから新型コロナ対策を打ち出していたが、盲点が1つあった。人口580万の都市国家シンガポールに100万人以上いる外国人の出稼ぎ労働者だ。

南アジアの出身者が大半を占める低賃金の外国人労働者は、郊外の宿舎に密集して暮らしている場合が多い。人権活動家は早くから、彼らの存在を無視する当局の姿勢を懸念していた。NPOの「出稼ぎ労働者にも権利を(TWC2)」は3月の時点で、「社会的距離」を保てない宿舎で爆発的な感染拡大が起きかねないと警告を発していた。多くの外国人労働者は1部屋につき12~20人が2段ベッドで眠り、毎日トラックの荷台に詰め込まれて仕事場へ向かう。共用の浴室に石鹸がなかったり、シャワーやトイレに十分な水がなかったりすることが多いと、彼らは英ガーディアン紙に語っている。さらにTWC2は、外国人労働者は病気を訴えたり、医療の助けを求めたりしづらい環境に置かれているとも指摘する。ここ数週間、新型コロナが外国人労働者の宿舎に次々と広がり、当局は感染拡大を制御できなくなった。保健省は4月22日、新規感染者1037人のうち982人が外国人労働者だったと発表した。全症例の約80%は外国人宿舎が発生源とされる。「外国人労働者を意図的に『不可視化』してきた結果だ。国家全体が、まるで彼らは存在しないかのように扱っている」と、TWC2のアレックス・アウはワシントン・ポスト紙に語った。

シンガポールは少なくとも6月1日までロックダウン措置を延長。ほとんどの職場を閉鎖させ、スーパーマーケットでの買い物を制限している。ガーディアンによれば、当局は必要不可欠な職種の労働者など7000人を外国人宿舎から移動させたが、まだ約29万3000人が残っている。当局は21日、外国人宿舎の隔離を発表。労働者が適切なケアを受けられるように医療施設と専門クリニックの設置を進めていると述べた。「結果が出るまで多少時間がかかる。宿舎での感染拡大がもうしばらく続くことを覚悟しなければならない」と、リー・シェンロン首相はフェイスブックで述べた。

シンガポールの現状は、パンデミックの際に疎外された人々を無視したらどうなるかを示唆している。積極的な濃厚接触者の追跡、広範な検査、しっかりした医療制度、厳格な隔離措置を実行できる効率的な政府——この国の新型コロナ対策は、他国から見たら羨ましくて仕方がない。それでも社会的弱者への目配りを欠いた状態では、十分な効果を発揮できない。

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